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神保町花月『斜本』のラスト近くの台詞について考える  

どうもー。『斜本』観終わってすぐに
オープニングテーマ曲(SINGER SONGER『初花凛々』)が入ったCDを借りました。
そうです、海老原 梓です。

神保町花月でやっていたお芝居『斜本』が無事に千秋楽を迎えたということで
感想というか、書きたいところだけをピンポイントで書きたいと思います。
なお、スケジュールの都合で私は一度しか観れていません。
そしてあくまで、私はこう思った、というだけですので
個人の感想として読んでいただければ幸いです。
一応はざっくりとあらすじは書いていますが
観ていないとかなり分かり辛いと思います。すみません。
あと、基本シューレスさんの話です。

感想は追記にて。



出演者及びざっくりとしたあらすじ(敬称略)。

シューレスジョー/囲碁将棋/ボーイフレンド/ランパンプス/
伊藤真奈美(THEフォービーズ)/児玉絹世/ピクニック

商店街にあるさびれた本屋の店主(シューレス)、店主の嫁(伊藤真奈美)、
中学生の息子(ランパンプス小林)
息子の友達(ピクニック)、その父親で商店街にある豆腐屋(ボーイフレンド黒沼)
息子たちの同級生(囲碁将棋、ボーイフレンド宮川、児玉絹世)
ショッピングモールの社員(ランパンプス寺内)

息子と友人は同級生からイジメを受けている。
そんな中、商店街の近くに大型ショッピングモール出店の話が出る。
商店街の店もショッピングモールに入らないかと社員が勧誘に来るが
店主は断っている。
だが店は傾きかけ、借金もある。
中学生の息子の進路を考えるとお金は絶対に必要。
なので妻は移転してもいいのではないかと思っている。

商店街の中で二分される賛成派と反対派。
それは大人たちから子供へと飛び火。
それまでイジメグループにいた一人(囲碁将棋・根建)の親の店が
ショッピングモール移転を決めたため、イジメグループのトップ(囲碁将棋・文田)から
殴られイジメを受けてしまう。
トップの家の親は反対派のリーダーだったのだ。

ショッピングモールが出来ることにより雇用も増えるし人も増えて幸せになると
思っていた社員だったが、商店街の反応を見るにつけ何が正しいか
分からなくなってくる。
そんな中、息子友人の家もショッピングモール移転を決めたためイジメが酷くなり
ショッピングモールなんか燃えてしまえばいい、と言う。
そうしたら本当にショッピングモールが火事になる。
息子は息子友人を疑うが、火をつけたのは実は父親である店主だった。


ほんと、すっごいざっくり書いたので分かり辛かったらすみません。
他にも色々話としてはあるんですけどとりあえず。
詳細は神保町HPのブログで……と思ったんですが、最近はもう
神保町ブログって芝居のあらすじ載せてないんですね。


シューレスさんの名前が一番最初にあるということで、シューさん主人公か!と
シューさんファンの私はうきうきと観に行ったわけなんですが、
全編に渡ってチラシにも写真のあった小林よっちゃんが主役という感じでした。
まあチラシにも写真あったしそりゃそうか、と思いながら観ていたんですけども
最後の最後、ショッピングモールに火をつけた、というくだりですよ。
「なんでそんなことしたの!」と言われて
「なんでって、邪魔だったからだよ」
もうね、この一言がもうね、聞いた瞬間はよく分からなかったのですが
涙が出たんですよね。
で、なんでかと考えた時に、この言葉の重みに気付いたわけです。

それまでの店主の立場というのは、移転はしたくない、商店街で本屋をやっていきたいけど
反対派に加わって大規模な運動をやるような感じでは全くなかったんですね。
やっていきたいけどねえ、人も来ないし本も仕入れられないしねえ、という感じ。
なのになぜいきなりショッピングモールに火をつけるなどという大胆な行動に出たかといえば、
自らが、”斜本” になろうとしたのだと思うのですね。
斜本については途中店主がセリフで説明していましたけども、
スカスカの本棚で斜めになっている本がある、奥さんはそれを嫌がって直してしまうが
店主自身はそんな本が結構好きだ、と。
なぜならば、自分が斜めになることによって他の本が倒れるのを防いでいるから。

ショッピングモール建設は、商店街の人を大きく二分してしまいました。
賛成派と反対派。
賛成派にしてみれば、ショッピングモール内に自分の店を出すことが出来る上
今までより多くの客が見込めるから経済的に楽になる、という考えですし、
反対派は根付いた土地や馴染みの商店街がなくなるなんてとんでもない、と。
それまでの町の光景が一変してしまう。
どちらも間違ってはいないわけです。脚本(というか芝居)でもどちらが悪とか愚かとかは
一切書かれていませんでしたし。
どちらも正しいんですが、だからこそ溝は埋まらないんですよね。
そしてこのままショッピングモールの建設が進めば溝は深まる一方で、
それは大人だけではなく子供の世界にも波及してしまうわけです。
実際に、それまでイジメグループにいたのに親が賛成派になったせいで
イジメを受ける子供も出てきましたし。
このままいけば、賛成派も反対派も全て、商店街の皆が共倒れになってしまう、
しかも商店街だけではなくショッピングモールの社員すらも悩み出してきた、
これでは皆が不幸になってしまう、
と店主は判断して火をつけたと私は思っているんですね。
なんですが、理由を訊かれて「邪魔だったからだよ」ですよ。
このままじゃ皆がダメになるとか、自分が受け止めるからとか
そんなことは一切言わずに「邪魔」という一言で片付けてしまう、というね。
そしてまたこの時のシューさんの演技がね!
いともあっさり言うんですよ。邪魔だったから、と。
でもその一言の中にものすごく色々な思いが込められているのが
理屈抜きに伝わって来たんですね。
今これ書いていてもちょっと泣きそうになっていますよ実は。
もちろんシューさんの演技が上手いことは何度も芝居を観ているから知っていました
けども、こう、理屈抜きにダイレクトに伝わってくるという経験をすると、
なんというかもう、うわあああああああ、と。
そりゃこの人主人公にするわ、他の人にこのセリフは言えんわ、となりました。

そして奥さんが言うんですよ。子供はどうなるのかと。犯罪者の子供と言われると。
そうしたらシューさんが言うんですね。
「離婚するか?」と。
またここの言い方にうわあああああああああああ、となりました。
ちょっと話が戻るんですが、奥さんが息子に結婚したいきさつを話すシーンがありまして、
あの人は風来坊で本当は一人でいたい人なんだけど私がどうしても結婚したくて
それで結婚してもらった、といった内容の事を言うんですね。
とにかく奥さんの方がべた惚れだ、と。
でですよ。この「離婚するか?」というセリフ。
またこのセリフの言い方が!
離婚するか?、と訊いたけど離婚するってお前は言わないよな、という感じが!もう!
もちろん店主も放火が重罪なのは重々承知でしょうし、全焼ということなので
執行猶予は多分つかないと思うのですね。初犯とはいえ。
そうなると何年も刑務所に入るのだろうということが想像つくわけです。
と考えると、特に子供のためには離婚した方がいい、というのは
店主が一番よく分かっていることだと思うのですね。
きっとこれから様々な場面で苦労をかけることになるだろう、と。
なんですが、「離婚しよう」ではなく「離婚するか?」なわけです。
子供や奥さんのことを考えたら離婚する方が本当はいいというのは分かった上で
(だからもし、奥さんが離婚すると言ったら頷いたとも思います)
離婚して欲しくないんだな、というのが伝わって来たんですね。
出所の時まで自分を待っていて欲しい、という気持ちがその一言から
伝わって来たといいますか。
店主と奥さんはすごくいい夫婦関係で描かれていて、
結構言い合い(というか奥さんが一方的に怒る)もしたりしつつも仲の良さが
感じられるような描かれ方をしていたんですけども、
私は、この「離婚するか?」のセリフに一番愛を感じました。
身勝手なのは重々承知な上で自分を待っていて欲しい、そしてきっと
待っていてくれる、と。
この女は俺の我がままを受け入れてくれる、と。
そんな甘えや信頼感やそういう色々な気持ちがあの一言に込められていて
奥さん側もそれを分かった上で、離婚するともしないとも言わずに
「早く自首してきなさいよ!」と言うんですね。
で、離婚しないと言わなかった理由はやはり息子が心配だから、というのが
あったと思うんですけども、その息子は息子で、犯罪者の息子とイジメられるんじゃ
ないかと言われた時に「ヒーロー扱いされると思うよ」と自嘲気味に言うんですよね。
この家族関係ね!
奥さんも息子も店主がなぜ放火なんてしたのかをきちっと感じ取って
それぞれの言い方で許し認めるんですよ。
なんかもう、その関係性に泣きそうになりました、というか泣きました。

はっきり言ってしまえば店主はまともな人間としては描かれていないです。
それはもう、(どんな理由であれ)放火犯ですからね。
まともな人間は斜本になろうとしても放火はしないですから。
放火ってめちゃくちゃ罪重いですし。時代が時代なら死刑ですよ
(今も、中に人がいることを知った上で放火すれば死刑の可能性は十分にあります)。
店ほったらかしてパチンコに行ったりとか多額の借金抱えながら
夜は飲みに行ったりとか、まず絶対に売れないような本を買い取りで
仕入れちゃったりとか。
「離婚するか?」もそうなんですよね。奥さんに判断を委ねるという意味で。
俺は離婚しようかって言ったよな、でもお前はしなかったよな、と
後で幾らでも言えるわけです。
そういう意味で、すごくどうしようもない人という描かれ方をしているんですね。
息子も母親に「なんでお父さんと結婚したの?」と訊くくらいに。
なんですが、そんな人じゃなかったらショッピングモールに火なんてつけれないん
だよなあ、と。
繰り返しになりますが、まともな人間だったら放火なんてしないですから。
そして奥さんも息子も(そして周囲の人も)それを分かっているのだろうなあ、と
思うわけです。

脚本が素晴らしいのはもちろんなんですけども、
「邪魔だったからだよ」「離婚するか?」にあれだけの意味を込められるのは
神保町に出ている人ではシューさんくらいだろうなあ、と思うので
そりゃこの話にするなら主役に置くわ、と納得したんでした。
また奥さん役の伊藤真奈美さんの演技が素晴らしくてね。
よっちゃんも良かったなあ。ランパンは二人ともすごくいい演技で
ちょっとファンになりましたよ。
あと全然触れられなかった他の方々に関しても皆さんすっごい良かったですし
あーこの人がー……みたいな人はいなかったんですよね。
一度しか観られなかったのが悔やまれてしょうがないので
ぜひ同じメンバーで再演して欲しいところです。

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